中小企業診断士二次試験事例4(平成30)問3
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第3問(配点 30 点)
D社は営業拠点として、地方別に計3カ所の支店または営業所を中核となる大都市に開設している。広域にビジネスを展開している多くの顧客企業による業務委託の要望に応えるために、D社はこれまで営業拠点がない地方に営業所を1カ所新たに開設する予定である。
今年度の売上原価と販売費及び一般管理費の内訳は次のとおりである。以下の設問に答えよ。
(設問 1 )来年度は外注費が7%上昇すると予測される。また、営業所の開設により売上高が550百万円、固定費が34百万円増加すると予測される。その他の事項に関しては、今年度と同様であるとする。予測される以下の数値を求め、その値を⒜欄に、計算過程を⒝欄に記入せよ。
①変動費率(小数点第3位を四捨五入すること)
②営業利益(百万円未満を四捨五入すること)
解答上の留意点
(1)来年度の変動比率は外注費のアップで変動 ⇒ 1047/1503から1101.74(782 × 1.07 + 232 + 33)/1503に変動
(2)営業所の開設により売上高が550百万円増加
(3)固定費が34百万円増加
(4)値を⒜欄に、計算過程を⒝欄に記入
(5)①変動費率(小数点第3位を四捨五入)、②営業利益(百万円未満を四捨五入)
解答の手順
※1. 変動比率 = 変動費 / 売上高
(1)上式に数値を代入すると、変動比率 = 変動費(=(836.74+232+33)/ 1503 × 2053)÷ 売上高2053(=1503+550)= (782 × 1.07 + 232 + 33)/1503 = 0.733027… ≒ 0.733
※2. 売上利益 = 売上高 ー 固定費 + 変動費
(1)上式に数値を代入すると、営業利益 = 売上高2053 ー 固定費472(=438+34)ー 変動費率0.733 × 2053 = 76.151 ≒ 76百万円
※3. 解答例
⒜欄 ⒝欄
①変動費率 73.30% 変動費1101.74 ÷ 売上高1503 = 0.7330… ≒ 73.30%
②営業利益 76百万円 売上高2053 ー 固定費472 ー 変動費1504.4849 = 76.151 ≒ 76百万円
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(設問 2 )D社が新たに営業拠点を開設する際の固定資産への投資規模と費用構造の特徴について、60字以内で説明せよ。
解答上の留意点
(1)新たに営業拠点を開設する際の固定資産への投資規模の特徴 ⇒ 営業拠点は賃貸で固定資産への投資は備品類のみか?
(2)新たに営業拠点を開設する際の費用構造の特徴 ⇒ 固定費と変動費の費用構造のことか?
(3)(1)と(2)合わせて60字以内で説明
解答の手順
※1. 営業拠点を開設する際の固定資産への投資規模の特徴
(1)営業拠点は賃貸なので固定資産への投資は小さい
※2. 営業拠点を開設する際の費用構造の特徴
(1)営業拠点は相対的に固定費は小さく、変動費が大きい
※3. 解答例 (文字数60字)
営業拠点の開設は賃貸なので固定資産への投資は小さい。したがって、開設時の費用構造は固定費の割合が変動費よりもかなり低い。
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(設問 3 )(設問2)の特徴を有する営業拠点の開設がD社の成長性に及ぼす当面の影響、および営業拠点のさらなる開設と成長性の将来的な見通しについて、60字以内で説明せよ。
解答上の留意点
(1)成長性 ⇒ 企業の売上高や総資産がどの程度変化したかによって、企業の将来への安定拡大・成長を分析する指標。売上、コスト、利益の相互の伸びのバランスが大切
(2)(設問2)の営業拠点開設の特徴 ⇒ 固定資産への投資小さい。経費全体にしめる固定費は相対的に小さく、変動費は大きくなる
(3)営業拠点の開が成長性に及ぼす当面の影響 ⇒ 当面は売上や営業利益は増加見込み(根拠:設問1)
(3)営業拠点のさらなる開設と成長性の将来的な見通し ⇒ 経費全体に占める固定費は益々小さく、変動費は益々大きくなるため、営業利益の伸び率が落ちてくる
(4)60字以内で説明 ⇒ (2)と(3)の両方を60字以内で説明
解答の手順
※1. 当面の売上や営業利益の成長性
(1)当面は売上や営業利益は増加見込み
※2. 営業拠点のさらなる開設と成長性の将来的な見通し
(3)経費全体に占める固定費は益々小さく、変動費は益々大きくなるため、営業利益の伸び率が落ちてくる
※3. 解答例 (文字数60字)
当面は売上や営業利益の増加が見込めるが、営業拠点の増設は経費全体に占める変動費を増大させ、営業利益の伸び率を低下させる。
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