中小企業診断士二次試験事例4(令和2)問2
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第2問(配点 30点)
(設問 1 )
ステーキ店の当期の売上高は60百万円、変動費は39百万円、固定費は28百万円であった。変動費率は、売上高70百万円までは当期の水準と変わらず、70百万円を超えた分については60%になる。また、固定費は売上高にかかわらず一定とする。その場合の損益分岐点売上高を求めよ。⒜欄に計算過程を示し、計算した値を⒝欄に記入すること。
解答上の注意点
(1)変動費率は、売上高70百万円までは当期の水準と変わらず、70百万円を超えた分については60%になる ⇒ 2個の変動率を持つ損益分岐点売上高
(2)固定費は売上高にかかわらず一定 ⇒ 2個の変動率を持つ損益分岐点売上高の固定費も
(3)⒜欄に計算過程を示し、計算した値を⒝欄に記入 ⇒ 変数を用いた計算過程を示すことになる
(4)最終的な解答の単位未満を四捨五入 ⇒ 端数処理についての指示がないが、解答欄から左のように解釈できる
解答の手順
※1. 損益分岐点売上高 = 固定費 /(1 ー 変動比率) ⇒ 損益分岐点売上高 ×(1 ー 変動比率)= 固定費
(2)固定費 = 28百万円
(3)売上70百万円以下の変動比率 = 変動費39百万円 ÷ 売上高 60百万円 = 0.65 。限界利益率は0.35
(4)売上70百万円を超えた分の変動比率 = 0.60 。限界利益率は0.4
(5)固定費は売上高にかかわらず一定という条件なので
(6)70百万円を超える売上高をAとすると
(7)2個の変動率を持つ損益分岐点売上高の固定費も28なので、⇒ 70 ×0.35 +(A ー 70)× 0.4 = 28
⇒ 24.5 + 0.4A ー 28 = 28 ⇒ A = 31.5 ÷ 0.4 = 78.75 A = 78.75百万円
※2. 解答例 上記※1(5)〜(7)のとおり
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(設問 2 )
このステーキ店(同店に関連して所有する資産の帳簿価額は35百万円である)への対応を検討することとした。D社の取りうる選択肢は、①広告宣伝を実施したうえでそのままステーキ店の営業を続ける、②よりカジュアルなレストランへの業態転換をする、③即時閉店して所有する資産を売却処分する、という3つである。それぞれの選択肢について、D社の想定している状況は以下のとおりである。
以上を基に、D社が次期期首に行うべき意思決定について、キャッシュ・フローの正味現在価値に基づいて検討することとした。①の場合の正味現在価値を⒜欄に、②の場合の正味現在価値を⒝欄に、3つの選択肢のうち最適な意思決定の番号を⒞欄に、それぞれ記入せよ。⒜欄と⒝欄については、ⅰ欄に計算過程を示し、ⅱ欄に計算結果を小数点第3位を四捨五入して示すこと。なお、将来のキャッシュ・フローを割り引く必要がある場合には、年8%を割引率として用いること。利子率8%のときの現価係数は以下のとおりである。
解答上の注意点
(1)D社が次期期首に行うべき意思決定について、キャッシュ・フローの正味現在価値に基づいて検討する
(2)年8%を割引率として用いる
(3)D社の取りうる選択肢は、①広告宣伝を実施したうえでそのままステーキ店の営業を続ける、②よりカジュアルなレストランへの業態転換をする、③即時閉店して所有する資産を売却処分する
(4)①の場合の正味現在価値を⒜欄に、②の場合の正味現在価値を⒝欄に、3つの選択肢のうち最適な意思決定の番号を⒞欄に、それぞれ記入
(5)⒜欄と⒝欄については、ⅰ欄に計算過程を示し、ⅱ欄に計算結果を小数点第3位を四捨五入して示す
解答の手順
※1. ①広告宣伝を実施したうえでそのままステーキ店の営業を続ける(効果ありの場合)
(1)広告料:3年契約、毎年5百万円を期首払 。効果あれば2年契約延長、毎年5百万円を期首払
(2)CF:宣伝効果あれば毎年35百万円(翌年度期首の委託料は前年度末のCFから引くので注意)=(5)
(3)効果あればX6年度末資産処分:得られるCFは24百万円予定。効果出ない場合はX4年度末に処分し、CFは28百万円予定
(4)X2年度期首 = -5
(5)X2〜5年度末各CF = 35(年度末のCF) + -5(翌年度期首の委託料) = 30
(6)X6年度末各CF = 35 + 24(資産処分で得たCF) = 59
(7)正味現在価値CF = -5 + 30 ×(0.926 +0.857 +0.794 +0.735)+ 59 × 0.681 = 134.539
※2. ①広告宣伝を実施したうえでそのままステーキ店の営業を続ける(効果なしの場合)
(1)広告料:3年契約、毎年5百万円を期首払
(2)CF:宣伝効果無ければ-5百万円
(3)効果出ない場合はX4年度末に処分し、CFは28百万円予定
(4)X2年度期首 = -5
(5)X2〜3年度末各CF = -5(年度末のCF) + -5(翌年度期首の委託料) = -10
(6)X4年度末各CF = -5 + 28(資産処分で得たCF) =23
(7)正味現在価値CF = -5 +(-10) ×(0.926 +0.857)+ 23 × 0.794 = -4.568
効果が期待される確率は70%なので、期待される正味現在価値CF = 134.539 × 0.7 + -4.568 × 0.3 = 94.1773 + (-1.3704)= 92.8069 ≒ 92.81
※3. ②よりカジュアルなレストランへの業態転換をする(効果ありの場合)
(1)改装工事料:X2年期首に30支払う
(2)X2年度末CF = 25 ÷ 2(半年分) = 12.5
(3)X3〜5年度末各CF = 25
(4)X6年度末各CF = 25 + 27(資産処分で得たCF) = 52
(7)正味現在価値CF = -30 + 12.5 × 0.926 +25 ×(0.857 + 0.794 + 0.735)+ 52 × 0. 681 = 76.637
※4. ②よりカジュアルなレストランへの業態転換をする(効果無しの場合)
(1)改装工事料:X2年期首に30支払う
(2)X2年度末CF = 15 ÷ 2(半年分) = 7.5
(3)X3〜5年度末各CF = 15
(4)X6年度末各CF = 15 + 27(資産処分で得たCF) = 42
(5)正味現在価値CF = -30 + 7.5 × 0.926 +15 ×(0.857 + 0.794 + 0.735)+ 42 × 0. 681 = 41.337
効果が期待される確率は40%なので、期待される正味現在価値CF = 76.637 × 0.4 + 41.337 × 0.6 = 30.6548 + 24.8022 = 55.457 ≒ 55.46
※5. ③即時閉店して所有する資産を売却処分する
(1)X2年期首に資産を30で売却処分。得られるCF = 30 正味現在価値も同額
※6. 解答例
(a)欄
(i)欄 広告効果が出る場合の正味現在価値CF = -5 + 30 ×(0.926 +0.857 +0.794 +0.735)+ 59 × 0.681 = 134.539。広告効果が出ない場合の正味現在価値CF = -30 + 7.5 × 0.926 +15 ×(0.857 + 0.794 + 0.735)+ 42 × 0. 681 = 41.337。期待される正味現在価値CF = 134.539 × 0.7 + -4.568 × 0.3 = 94.1773 + (-1.3704)= 92.8069 ≒ 92.81
(ii)欄 92.81百万円
(b)欄
(i)欄 広告効果が出る場合の正味現在価値CF = -30 + 12.5 × 0.926 +25 ×(0.857 + 0.794 + 0.735)+ 52 × 0. 681 = 76.637。広告効果が出ない場合の正味現在価値CF = -30 + 7.5 × 0.926 +15 ×(0.857 + 0.794 + 0.735)+ 42 × 0. 681 = 41.337。期待される正味現在価値CF = 76.637 × 0.4 + 41.337 × 0.6 = 30.6548 + 24.8022 = 55.457 ≒ 55.46
(ii)欄 55.46百万円
(c)欄 ①
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