中小企業診断士二次試験事例4(令和2)問3
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第3問(配点20 点)
D社は、リフォーム事業の拡充のため、これまで同社のリフォーム作業において作業補助を依頼していたE社の買収を検討している。当期末のE社の貸借対照表によれば、資産合計は550百万円、負債合計は350百万円である。また、E社の当期純損失は16百万円であった。
(設問 1 )
D社がE社の資産および負債の時価評価を行った結果、資産の時価合計は500百万円、負債の時価合計は350百万円と算定された。D社は50百万円を銀行借り入れ(年利4%、期間10年)し、その資金を対価としてE社を買収することを検討している。買収が成立した場合、E社の純資産額と買収価格の差異に関してD社が行うべき会計処理を40字以内で説明せよ。
解答上の注意点
(1)買収が成立した場合、E社の純資産額と買収価格の差異に関してD社が行うべき会計処理 ⇒ 「のれん処理」のこと
(2)40字以内で説明
解答の手順
※1. E社の純資産額と買収価格の差異を求める ⇒ 買収価格 ー 純資産額 = のれん
(1)E社の純資産額 = 500 ー 350 = 150
(2)D社は50百万円を銀行借り入れ(年利4%、期間10年)し、その資金を対価としてE社を買収することを検討
(3)E社の純資産額と買収価格の差異 = 50 ー 150 = -100(=負ののれん)
(4)行うべき会計処理:負ののれんは特別利益に計上
(5)解答例(40/40文字):純資産額と買収価格の差異100百万円を負ののれんとして当年度特別利益に計上する。
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(設問 2 )
この買収のリスクについて、買収前に中小企業診断士として相談を受けた場合、どのような助言をするか、60字以内で述べよ。
解答上の注意点
(1)「D社は、リフォーム事業の拡充のため、これまで同社のリフォーム作業において作業補助を依頼していたE社の買収を検討」 ⇒ 事業拡大のための買収 ⇒ FCFの拡大
(2)「買収前に中小企業診断士として相談を受けた場合」 ⇒ 一般論ではなく本件に対する助言に特化すべきか?
(2)「買収のリスクについて」 ⇒ 赤字企業の買収リスク
(2)「どのような助言をするか」 ⇒ リスクに対する対応策としての助言が必要 ⇒ FCF生む財務改善が必要かも
(3)「60字以内で」
解答の手順
※1. 買収のリスク
(1) 一般論(一次試験レベル)としては、経営資源の重複でリストラが発生、社員間の不協和音の発生、期待したシナジー効果が出ないなどのリスクがある
(2) 本件特有のリスクとしては、吸収合併企業の赤字経営への対応策として財務的改善を助言する必要がある。負ののれんによる特別利益に触れるかは悩ましいところ
(3) 解答例(60/60文字): E社は純損失を計上しており、特別利益の計上があってもFCFの拡大が不透明であるため、割引現在価値などで将来性も検討する。
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