中小企業診断士二次試験事例3(令和02・解答手順)
手順1:行番号を記入し、与件文の冒頭を読んでC社の業種を確認 0.5分
一行目冒頭に「1955 年創業で、資本金4,000 万円、デザインを伴うビル建築用金属製品やモニュメント製品などのステンレス製品を受注・製作・据付する企業」とある。
手順3:与件文を読んで、段落単位でSWOT分析をして「S」「W」「O」「T」を該当箇所にアンダーラインをしながら記入 10分
手順5:与件文を読み、各設問の解答として引用する箇所に設問と同じ色のマーカーを塗る 10分
SWOT分析結果の与件文にマーカーをすると逆に判別し辛いので省略した。
与件文
①C 社は、1955 年創業で、資本金4,000 万円、デザインを伴うビル建築用金属製品やモニュメント製品などのステンレス製品を受注・製作・据付する企業で、従業員は、営業部5 名、製造部23 名、総務部2 名の合計30 名で構成される。
②C 社が受注しているビル建築用金属製品の主なものは、出入口の窓枠やサッシ、各種手摺、室内照明ボックスなどで、特別仕様の装飾性を要求されるステンレス製品である。またモニュメント製品は、作家(デザイナー)のデザインに従って製作するステンレス製の立体的造形物である。どちらも個別受注製品であり、C 社の工場建屋の制約から設置高さ7 m 以内の製品Wである。主な顧客は、ビル建築用金属製品については建築用金属製品メーカー、モニュメント製品についてはデザイナーである。
③創業時は、サッシ、手摺など建築用金属製品の特注品製作から始め、特に鏡面仕上げなどステンレス製品の表面品質にこだわり、溶接技術や研磨技術を高めることに努力したS。その後、ビル建築内装材の大型ステンレス加工、サイン(案内板)など装飾性の高い製品製作に拡大し、それに対応して設計技術者を確保し、設計から製作、据付工事までを受注する企業になったS。
④その後、3 代目である現社長は、就任前から溶接技術や研磨技術を生かした製品市場を探していたが、ある建築プロジェクトで外装デザインを行うデザイナーから、モニュメントの製作依頼を受けたことを契機として、特殊加工と仕上げ品質が要求されるステンレス製モニュメント製品の受注活動を始めた。
⑤モニュメント製品は受注量が減少したこともあったが、近年の都市型建築の増加に伴い製作依頼が増加しているS。受注量の変動が大きいものの、全売上高の40 %を占め、ビル建築用金属製品と比較して付加価値が高いため、今後も受注の増加を狙っている。
【業務プロセス】
⑥ビル建築用金属製品、モニュメント製品の受注から引き渡しまでの業務フローは、以下のとおりである。
⑦受注、設計、据付工事施工管理は営業部が担当する。顧客から引き合いがあると、受注製品ごとに受注から引き渡しに至る営業部担当者を決め、顧客から提供される設計図や仕様書などを基に、製作仕様と納期を確認して見積書を作成・提出し、契約締結後、製作図および施工図を作成して顧客承認を得る。通常、製作図および施工図の顧客承認段階では、仕様変更や図面変更などによって顧客とのやりとりが多く発生Wする。特にモニュメント製品では、造形物のイメージの摺合わせに時間を要する場合が多く、図面承認後の製作段階でも打ち合わせが必要な場合がある。W設計には2 次元CAD を早くから使用している。S
⑧その後、製作図を製造部に渡すことにより製作指示をする。製作終了後、据付工事があるものについては、営業部担当者が施工管理して据付工事を行い、検査後顧客に引き渡す。据付工事は社外の協力会社に依頼し、施工管理のみ社内営業部担当者が行っている。
⑨契約から製品引き渡しまでのリードタイムは、平均約2 か月である。最終引き渡し日が設定されているが、契約、図面作成、顧客承認までの製作前プロセスに時間を要して製作期間を十分に確保できないことや、複雑な形状など高度な加工技術が必要な製品などの受注内容によって、製作期間が生産計画をオーバーするなど、納期の遅延が生じC 社の大きな悩みとなっているW。
⑩C 社では、全社的な改善活動として「納期遅延の根絶」を掲げ、製作プロセスを含む業務プロセス全体の見直しを進めている。また、その対策の支援システムとしてIT化も検討している。
【生産の現状】
⑪製作工程は切断加工、曲げ加工、溶接・組立、研磨、最終検査の5 工程である。切断加工工程と曲げ加工工程はNC 加工機による加工であり、作業員2 名が担当している。溶接・組立工程と研磨工程は溶接機や研磨機を用いた手作業であり、4 班の作業チームが受注製品別に担当している。この作業チームは1 班5 名で編成され、熟練技術者が各班のリーダーとなって作業管理を行うが、各作業チームの技術力には差があり、高度な技術が必要な製作物の場合には任せられない作業チームもあるW。
⑫ビル建築用金属製品は切断加工、曲げ加工、溶接・組立までは比較的単純であるが、その後の研磨工程に技術を要する。また、モニュメント製品は立体的で複雑な曲線形状の製作が多く、全ての工程で製作図の理解力と高い加工技術が要求される。ビル建築用金属製品は製作完了後、製造部長と営業部の担当者が最終検査を行って、出荷する。モニュメント製品は、デザイナーの立ち会いの下、最終検査が行われ、この際デザイナーの指示によって製品に修整や手直しが生じる場合があるW。
⑬生産計画は、製造部長が月次で作成している。月次生産計画は、営業部の受注情報、設計担当者の製品仕様情報によって、納期順にスケジューリングされるが、溶接・組立工程と研磨工程は加工の難易度などを考慮して各作業チームの振り分けを行いスケジューリングされる。C 社の製品については基準となる工程順序や工数見積もりなどの標準化が確立しているとはいえないW。
⑭工場は10 年前に改築し、個別受注生産に適した設備や作業スペースのレイアウトに改善したが、最近の加工物の大型化によって狭隘な状態が進み、溶接・組立工程と研磨工程の作業スペースの確保が難しく、新たな製品の着手によって作業途中の加工物の移動などを強いられているW。
⑮製造部長は、全社的改善活動のテーマである納期遅延の問題点を把握するため、作業時間中の作業者の稼働状態を調査した。それによると、不稼働の作業内容としては、「材料・工具運搬」と「歩行」のモノの移動に関連する作業が多く、その他作業者間の「打ち合わせ」、営業部担当者などとの打ち合わせのための「不在」が多く発生していたW。
手順2:各設問文を読んで解答に必要な5W2Hを確認しアンダーライン 4.5分
手順4:各設問文を読んで、与件文から解答を探さなければいけない文言箇所にマーカーで色塗り(設問別に色分け) 5分
手順6:難易度の確認と関連する設問同士の関係性を確認して解答順序を決める 5分
問1が全設問に関連性しそうだが現時点では不明。設問の難易度は知識不足で判断できず。よって解答は順序よく行うことにした。
第1問(配点20点)
解答例はこちら
C 社の⒜強みと⒝弱みを、それぞれ40 字以内で述べよ。
第2問(配点40点)
解答例はこちら
C 社の大きな悩みとなっている納期遅延について、以下の設問に答えよ。
(設問1)
C 社の営業部門で生じている⒜問題点と⒝その対応策について、それぞれ60 字以内で述べよ。
(設問2)
C 社の製造部門で生じている⒜問題点と⒝その対応策について、それぞれ60 字以内で述べよ。
第3問(配点20点)
解答例はこちら
C 社社長は、納期遅延対策として社内のIT 化を考えている。C 社のIT 活用について、中小企業診断士としてどのように助言するか、120 字以内で述べよ。
第4問(配点20点)
解答例はこちら
C 社社長は、付加価値の高いモニュメント製品事業の拡大を戦略に位置付けている。モニュメント製品事業の充実、拡大をどのように行うべきか、中小企業診断士として120 字以内で助言せよ。
手順7:解答の作成 45分
問1の解答に盛り込む事項
S(強み)➡︎ 与件文③ステンレス製品の表面品質にこだわった溶接技術や研磨技術の高さ、設計から据付まで自社対応
Sの解答例① ➡︎ 設計から据付までを自社対応、製品の表面品質にこだわった溶接技術や研磨技術の高さ。
W(弱み)➡︎ 与件文②設置高7m以内の製品しか作れない工場建屋 ➡︎ ⑦仕様変更や図面変更、造形物のイメージすり合わせに時間を要す ➡︎ ⑨納期遅延 ➡︎ ⑩作業チームに技術力の差 ➡︎ ⑫最終検査時点での手直し ➡︎ ⑬生産計画が標準化されていない ➡︎ ⑭製品の大型化に工場が未対応 ➡︎ ⑮打ち合わせによる不稼働が多い
Wの解答例② ➡︎ 生産計画や作業者の技術力が標準化されず、工場の狭隘化で不稼働が増え、納期遅延気味。
問1の解答の下書きメモ
文字数が40字いないと短いので、与件文の羅列では収まらない。よって、優先順位をつけ短い文章で羅列した
解答例 ➡︎ 上記SWOTの①〜②
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問2設問1の解答に盛り込む事項
営業部門で生じている納期遅延の原因=問題点 ➡︎ 与件文⑨「契約、図面作成、顧客承認までの製作前プロセスに時間を要して製作期間を十分に確保できないことや、複雑な形状など高度な加工技術が必要な製品などの受注内容によって、製作期間が生産計画をオーバーする」こと ➡︎ 製作前プロセスに時間を要して製作期間を十分確保できず、受注内容によって製作期間が生産計画をオーバーすることが問題
問2設問1の解答の下書きメモ
(a)解答例 ➡︎ 問題点は、製作前プロセスに時間を要して製作期間を十分確保できず、受注内容によって製作期間が生産計画を超過することである。
(b)解答例 ➡︎ 対応策は、製作前プロセスに時間を要することが多いため、受注内容の特定後に製作期間を決定する契約とし、履行遅延を防ぐ。
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問2設問2の解答に盛り込む事項
製造部門で生じている納期遅延の原因=問題点 ➡︎ 与件文⑪「各作業チームに技術力の差があり負荷に偏り ➡︎ ⑫最終検査で修正や手直しが発生することも ➡︎ ⑬工程順序や工程見積の標準化なし ➡︎ ⑭工場の狭隘化が進み作業中の加工物移動もあり ➡︎ ⑮モノ移動と打合せの不在が不稼働で多い
問2設問2の解答下書きメモ
(a)解答例 ➡︎ 技術力の差でチーム間の負荷に偏りが生じ、工程の標準化がないので手戻りや打合せが、工場の狭隘化で作業中のモノ移動が多い。
(b)解答例 ➡︎ チーム間の人事異動で技術力の向上と平準化を図り、工程順序や工程見積を標準化して手戻りや不稼働時間を減らすことである。
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問3の解答に盛り込む事項
納期遅延対策としてのIT活用 ➡︎ 与件文⑦「設計には二次元CADを早くから活用」➡︎ ⑪「切断加工工程と曲げ加工工程はNC加工機による加工」
問2の対策にITは活用されていないので、一次知識から活用方法を記述 ➡︎ 作業前プロセスと作業後プロセスをデータベース化することで、顧客や部門単位の情報を全社的に共有化し、手戻りや修正、モノの移動や打合せを減らして納期遅延を防止
問3の解答下書きメモ
解答例 ➡︎ ①三次元CADの導入して製品イメージの齟齬を減らし、②NC加工の工程を増やして加工時間を短縮し、③作業前を含む全プロセスをデータベース化することで顧客や部門の情報を全社で共有し、手戻りや修正、モノの移動や打合せを減らして納期遅延を防止する。
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問4の解答に盛り込む事項
モニュメント製品事業の現状 ➡︎ 「近年の都市型建築の増加に伴い製作依頼も増加」 ➡︎ 「受注量の変動が大きい」➡︎ 「全売上高の40%を占める」➡︎ 「ビル建築用金属製品と比較して付加価値が高い」
事業の充実拡大を図る方策 ➡︎ 与件文に記述が無いので一次知識から ➡︎ 需要増への対応=納期遵守方策 ➡︎ 受注変動への対応=受注安定の方策 ➡︎ 付加価値の向上=受注拡大の方策
問4の解答の下書きメモ
解答例 ➡︎ ①生産計画の標準化と技術力の平準化を図り、②工場の狭隘化を解消して製品の高さ制限や作業中の移動を無くし、③製作図やイメージ図の 三次元CAD化を図り溶接・研磨技術の高さを自社サイト等で多くのデザイナーに訴求することで、事業の充実拡大を図る。
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