中小企業診断士二次試験事例4(令和2)問4

与件文(問題文)はこちら

第4問(配点25 点)

D社の報告セグメントに関する当期の情報(一部)は以下のとおりである。

D社では、戸建住宅事業における顧客満足度の向上に向けて、VR(仮想現実)を用い、設計した図面を基に、完成予定の様子を顧客が確認できる仕組みを次期期首に導入することが検討されている。ソフトウェアは400百万円で外部から購入し、5年間の定額法で減価償却する。必要な資金400百万円は銀行借り入れ(年利 4%、期間5年)によって調達する予定である。このソフトウェア導入により、戸建住宅事業の売上高が毎年92百万円上昇することが見込まれている。以下の設問に答えよ。

(設問 1 )
⒜戸建住宅事業および⒝D社全体について、当期のROIをそれぞれ計算せよ。解答は、%で表示し、小数点第3位を四捨五入すること。

解答上の注意点

(1)当期のROI投下資本利益率 = 利益 ÷ 投下資本 × 100%

(2)小数点第3位を四捨五入

※1. 当期のROI

(1) 利益は上表から欄外説明より「営業利益」となる

(2) 投下資本は上表の「セグメント資産」となる

(3) ⒜戸建住宅事業のROI = 146 ÷ 3385 × 100 = 4.313… ≒ 4.31 %

(4) ⒝D社全体のROI = 98 ÷ 3844 × 100 = 2.549… ≒ 2.55 %

※2. 解答例

上記上記(3)(4)のとおり

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(設問 2)
各事業セグメントの売上高、セグメント利益およびセグメント資産のうち、このソフトウェア導入に関係しない部分の値が次期においても一定であると仮定する。このソフトウェアを導入した場合の次期における戸建住宅事業のROIを計算せよ。解答は、%で表示し、小数点第3位を四捨五入すること。

解答上の注意点

(0)与件文四段落目に「なお、ROIの算定に用いる各事業セグメントの投下資本として、各セグメントに帰属する期末資産の金額を用いている。とある時期期末数値を用いる

(1)各事業セグメントの売上高、セグメント利益およびセグメント資産のうち、このソフトウェア導入に関係しない部分の値が次期においても一定であると仮定する飲食事業とその他事業は一定

(2)「なお、ROIの算定に用いる各事業セグメントの投下資本として、各セグメントに帰属する期末資産の金額を用いている」。400百万円で外部から購入 ⇒ セグメント資産(期首)= 3385 + 400 = 3785(期首)

(3)5年間の定額法で減価償却 ⇒ セグメント資産 = 400 ÷ 5 =80

(4)資金400百万円は銀行借り入れ(年利 4%、期間5年) ⇒ 支払利息 = 400 × 0.04 =16(営業外費用

(5)戸建住宅事業の売上高が毎年92百万円上昇する

(6)セグメント資産(期末)= 3785 ー 80 ー 16 + 92 = 3781

(7)セグメント利益(期末)= 146 + 92 ー 80 = 3781

(8)小数点第3位を四捨五入

解答の手順

※1. 次期における戸建住宅事業のROIを計算

(1)利益(営業利益ベース)= 146 + 12 = 158

(2)資産 = 3785 + 92 ー 80 ー 16 =3781

(3)ROI = 158 ÷ 3781 × 100 = 4.178… ≒ 4.18 %

※2. 解答例 :上記(3)のとおり

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(設問 3)
取締役に対する業績評価の方法について、中小企業診断士として助言を求められた。現在の業績評価の方法における問題点を⒜欄に、その改善案を⒝欄に、それぞれ20字以内で述べよ。

解答上の注意点

(1)「戸建住宅事業および飲食事業については、それぞれ担当取締役がおり、取締役の業績は各事業セグメントの当期ROI(投下資本営業利益率)によって評価されている。

(2)現在の業績評価の方法における問題点

(3)その改善案

(4)それぞれ20字以内で説明

解答の手順

※1. 取締役の業績が各事業セグメントの当期ROI(投下資本営業利益率)によって評価される問題

(1)当期のROI投下資本利益率 = 利益 ÷ 投下資本 × 100% ⇒ 新規投資が必要な改革改善などに消極的になる。

(2)当期のROI投下資本利益率 = 利益 ÷ 投下資本 × 100% ⇒ 全社的利益に対する貢献度を評価できない。

※2. 改善案

(1)当期のR I残余利益 = 利益 ー 資本コスト(WACCなど) ⇒ 比率だけでなく利益量を評価に加える。

※3. 解答例(20/20文字)

⒜欄(20/20文字):全社的利益に対する貢献度を評価できない。

⒝欄(20/20文字):比率だけでなく残余利益額を評価に加える。

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