中小企業診断士二次試験事例1(令和03)問1

与件文(問題文)はこちら

第1問(配点20点)

2 代目経営者は、なぜ印刷工場を持たないファブレス化を行ったと考えられるか、100 字以内で述べよ。

解答上の留意点

(1)「2 代目経営者」の時代 ⇒ 「一連の技術革新に伴う経営環境の変化に直面」、価格破壊、参入障壁低下

(2)「なぜ印刷工場を持たないファブレス化を行ったと考えられるか」ファブレス化のメリット ➡︎ アウトソーシングのメリット ➡︎ 設備資源の再定義 ➡︎ ドメインの再定義

(3)「100字以内」 ⇒ 100字を超えてはいけないことに注意

解答の手順

※1. なぜ印刷工場を持たないファブレス化を行ったと考えられるか

(1) 与件文の第四段落「2000年頃より情報通信技術の進化によって印刷のデジタル化が加速し、版の作成を必要としないオンデマンド機が普及することによって、オフィスや広告需要の多くが、より安価な小ロット印刷のサービスに置き換わっていった。とりわけ一般的な事務用印刷の分野においては、技術革新によって高度な専門的技術や知識が不要となったため、印刷業ではない他分野からの新規参入が容易になり、さらに印刷の単価が下がっていった。」 ⇒ 職人が不要、印刷機陳腐化、新規参入容易、印刷単価下落という内外の環境変化に対応するため

(2) 与件文の第五段落「2代目が社長に就任すると、保有していた印刷機、印刷工場を順次売却し、印刷機を持たない事業へと転換した。」 ⇒ 陳腐化した印刷機や印刷工場の除却

(3) 与件文の第五段落「制作物のデザイン、製版、印刷、製本までの工程を一括受注し、製版や印刷工程を、凸版、凹版、平版などの版式の違いに応じて専門特化された協力企業に依頼することで、外部にサプライチェーンのネットワークを構築し、顧客の細かいニーズに対応できるような分業体制を整えることに注力した。A社では、割り付けやデザインと紙やインク、印圧などの仕様を決定して、印刷、製本、加飾などの各工程において協力企業を手配して指示することが主な業務となっていった。当時、新しい技術に置き換わりつつあった事務用印刷などの事業を大幅に縮小し、多工程にわたり高品質、高精度な印刷を必要とする美術印刷の分野にのみ需要を絞ることで、高度で手間のかかる小ロットの印刷、出版における事業を幅広く展開できるようになった。その結果、イベントや展示に用いられる紙媒体の印刷物、見本や写真、図録、画集、アルバムなどの高精度な仕上がりが求められる分野において需要を獲得していった。」 ⇒ 外部にサプライチェーンのネットワークを構築し、顧客の細かいニーズに対応できるような分業体制を整えることで、高品質、高精度な印刷を必要とする美術印刷の分野に資源を集中させた

※2. 解答例(100/100文字)⇒ ①市場の技術革新によって陳腐化した資産を除却し、②外部とのサプライチェーンネットワークを構築して顧客の細かい需要に対応する分業体制を強化し、③参入障壁の高い美術印刷の分野に戦略を集中させるためである。

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