中小企業診断士二次試験事例3(令和01)問3

与件文(問題文)はこちら

第3問(配点40点)

 X社から求められている新規受託生産の実現に向けたC社の対応について、以下の設問に答えよ。

(設問1)

 C社社長の新工場計画についての方針に基づいて、生産性を高める量産加工のための新工場の在り方について120 字以内で述べよ。

解答上の留意点

(1)「C社社長の新工場計画についての方針に基づいて」⇒ 与件文の第十三段落参照

(2)「生産性を高める量産加工のための新工場の在り方 ⇒ 量産加工の新工場

(3)「120字以内」 ⇒ 120字を超えてはいけないことに注意

解答の手順

※1. 生産性を高める量産加工のための新工場の在り方

(1) 与件文の第十三段落「生産設備面では、現在の機械加工部門の工程能力を考慮すると加工設備の増強が必要であり、敷地内の空きスペースに設備を増設するために新工場の検討を行っている。C社社長は、この新工場計画について前向きに検討を進める考えであり、次のような方針を社内に表明している。

1.X社の受託生産部品だけの生産をする専用機化・専用ライン化にするのではなく、将来的にはX社向け自動車部品以外の量産の機械加工ができる新工場にする。量産の機械加工ができる新工場は汎用機化、汎用ライン化

2.これまでの作業者のスキルに頼った加工品質の維持ではなく、作業標準化を進める。導入機器で加工品質の維持と作業の簡略化を図り、作業者スキルの平準化、多能工化、教育指導の迅速化を実現

3.一人当たり生産性を極限まで高めるよう作業設計、工程レイアウト設計などの工程計画を進め、最適な新規設備の選定を行う。多くの作業を自動化、簡略化できる設備の選定

4.近年の人材採用難に対応して、新工場要員の採用は最小限にとどめ、作業方法の教育を実施し、早期の工場稼働を目指す。」 ⇒ 技術者の養成による人材確保(省力化前提?)

(2) 与件文の第十段落「その内容は、自動車部品専用の熱処理設備で加工しているX社の全ての部品の機械加工であり、C社では初めての本格的量産機械加工になる。受託する金属部品は、寸法や形状が異なる10種類の部品で、加工工程は部品によって異なるがそれぞれ5工程ほどの機械加工となり、その加工には、旋盤、フライス盤、研削盤、またはマシニングセンタなどの工作機械が必要になる。この受託生産に応える場合、機械加工部門の生産量は現在の約2倍になると予想され、現状と比較して大きな加工能力を必要とする。」 ⇒

(3) 与件文の第十一段落「また、この機械加工の受託生産の実施を機会に、X社で運用されている後工程引取方式を両社間の管理方式として運用しようとする提案がX社からある。具体的運用方法は、X社からは3カ月前に部品ごとの納品予定内示があり、1カ月ごとに見直しが行われ、納品3日前にX社からC社に届く外注かんばんによって納品が確定する。これら納品予定内示および外注かんばんは、通信回線を使用して両社間でデータを交換する計画である。」 ⇒

※2. 解答例(120字/120文字)①受託機械加工の量産化と汎用機化及び汎用ライン化を両立させ、②作業者スキルへの依存を減らすために作業の自動化と平準化を推進し、③限られた作業員で製品の品質と納期を維持するために技術者養成の短縮化と多能工化が図れる工法工程を実現すべきである。

(設問2)

X社とC社間で外注かんばんを使った後工程引取方式の構築と運用を進めるために、これまで受注ロット生産体制であったC社では生産管理上どのような検討が必要なのか、140 字以内で述べよ。

解答上の留意点

(1)「外注かんばんを使った後工程引取方式の構築と運用」⇒ 外注かんばん方式による材料発注時期の確定、電子データによる受発注管理

(2)「これまで受注ロット生産体制であったC社では生産管理上どのような検討が必要 ⇒ 後工程引取方式量産体制との両立

(3)「140字以内」 ⇒ 140字を超えてはいけないことに注意

解答の手順

※1. 外注かんばんを使った後工程引取方式の構築と運用

(1) 与件文の第十段落「その内容は、自動車部品専用の熱処理設備で加工しているX社の全ての部品の機械加工であり、C社では初めての本格的量産機械加工になる。受託する金属部品は、寸法や形状が異なる10種類の部品で、加工工程は部品によって異なるがそれぞれ5工程ほどの機械加工となり、その加工には、旋盤、フライス盤、研削盤、またはマシニングセンタなどの工作機械が必要になる。この受託生産に応える場合、機械加工部門の生産量は現在の約2倍になると予想され、現状と比較して大きな加工能力を必要とする。」⇒ 納期遵守の材料発注と人員確保の検討

(2) 与件文の第十一段落「また、この機械加工の受託生産の実施を機会に、X社で運用されている後工程引取方式を両社間の管理方式として運用しようとする提案がX社からある。具体的運用方法は、X社からは3カ月前に部品ごとの納品予定内示があり、1カ月ごとに見直しが行われ、納品3日前にX社からC社に届く外注かんばんによって納品が確定する。これら納品予定内示および外注かんばんは、通信回線を使用して両社間でデータを交換する計画である。」⇒ 受注確定後3日で納品、受発注は電子データの交換で実施

(3) 与件文の第十二段落「外注かんばんの電子データ化などのシステム構築は、X社の全面支援によって行われる予定となっているが、確定受注情報となる外注かんばんの社内運用を進めるためには、C社内で生産管理の見直しが必要になる。この後工程引取方式は、X社自動車部品の機械加工工程および自動車部品専用の熱処理工程に限定した運用範囲とし、その他の加工品については従来同様の生産計画立案と差立方法で運用する計画である。」⇒ 新旧生産管理の同時運用ができる仕組みを検討

※2. これまで受注ロット生産体制であったC社では生産管理上どのような検討が必要

(1) 与件文の第八段落「生産計画は、機械加工部と熱処理部それぞれで立案されるが、機械加工を伴う受注については熱処理加工との工程順や日程などを考慮して調整される。両部門とも受注生産であることから、納期を優先して月ごとに日程計画を作成し、それに基づいて日々の作業が差立てされる。納期の短い注文については、顧客から注文が入った時点で日程計画を調整、修正し、追加される。機械加工受注品に使用される材料の調達は、日程計画が確定する都度発注し、加工日の1週間前までに納品されるように材料商社と契約しており、材料在庫は受注分のみである。」⇒ 受注分以外の材料在庫を持たない運用の検討

※3. 解答例(140字/140文字)外注かんばん方式の導入で短縮された納期限を遵守するために、材料発注や人員確保の時期を検討する。具体的には、従来どおり加工日の一週間前に納品することで材料在庫を抱えない方策を検討すると同時に、納品数量確定時との差異に対応するため仕掛品や材料の適正在庫数を算出する方策も検討を要する。

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