中小企業診断士二次試験事例1(平成29)問4

与件文(問題文)はこちら

第4問(配点20点)

A 社は、全国市場に拡大することでビジョンの達成を模索しているが、それを進めていく上で障害となるリスクの可能性について、中小企業診断士の立場で助言せよ。100 字以内で答えよ。

解答の留意点

(1)「全国市場に拡大することでビジョンの達成を模索しているが、それを進めていく上で障害となるリスクの可能性」⇒ 主力3商品は新市場開拓戦略、新商品は多角化戦略

(2)「中小企業診断士の立場で助言」⇒ リスクの可能性を助言?

(3)「100字以内」 ⇒ 100字を超えてはいけないことに注意

解答の手順

※1. 全国市場に拡大することでビジョン達成を図る場合の障害リスク

(1) 与件文の第七段落「売上高 30 億円というビジョンを達成するためには、全国の市場で戦うことのできる新商品の開発が不可避であるし、それを実現していくための人材の確保や育成も不可欠」 ⇒ 新市場開拓戦略と多角化戦略の障害リスクが問われている。人材の確保、育成面の課題もリスク

(2)与件文の第七段落「創業からおよそ 17 年の時を過ぎたとはいえ A 社の主力商品は、前身である X 社が築きあげてきた主力商品に依存しており、A 社が独自で創りあげたものではないことは事実である。かねてより目標として掲げてきた全国市場への進出の要件ともいうべき首都圏出店の夢もいまだにかなっているわけではない」 ⇒ 新商品開発に至っていない現状もリスク

(3)与件文の第二段落「部門長と 9名の正規社員が所属する製造部門は、餡(あん)づくり、生地づくり、成型加工、そして生産管理を担当している。また、自社店舗による直接販売は行っていないため、創業以来営業を担当してきた専務をトップに 6名からなる営業部門は、県内外の取引先との折衝や販売ルートの開拓のほか、出荷地域別にくくられた取引先への配送管理と在庫管理が主な業務である。非正規社員 70 名のうち毎日出社するのは 30 名程度で、残りの 40 名は交代勤務である。非正規社員の主な仕事は、製造ラインの最終工程である箱詰めや包装、倉庫管理などの補助業務である。人事・経理などの業務は、3名の正規社員から成る総務部門が社長の下で担当している」⇒ 新開発をする余剰資源が組織にない。人材の確保と育成が先決

(4)与件文の第三段落「 X 社は、その後直営店をはじめ様々な販売ルートを通じて、和・洋の生菓子、和洋折衷焼菓子など 100 品目以上の菓子を扱うようになり、年間売上高は 10 億円を超えるまでになった。しかしながら、1990 年代後半バブル経済崩壊後の長期景気低迷の中で販路拡大・生産力増強のための過剰投資によって巨額の負債を抱え、事業の継続を断念せざるを得なくなった」⇒ 多角化戦略は他戦略より投資大、事業間のシナジー効果小さい

※2. 解答例(100/100文字)⇒ ビジョン達成の障害リスクには、①販路開拓を全国に拡げるための人材確保と能力の育成、②生産拡大を効率的に進める自動化の促進、③新商品開発に回す余剰資源の確保と既存商品とのシナジー効果の最大化などがある。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*

CAPTCHA