中小企業診断士二次試験事例1(平成30)問2

与件文(問題文)はこちら

第2問(配点40点)

A 社の事業展開について、以下の設問に答えよ。

(設問1)

A 社は創業以来、最終消費者に向けた製品開発にあまり力点を置いてこなかった。A 社の人員構成から考えて、その理由を 100 字以内で答えよ。

解答の留意点

(1)「創業以来、最終消費者に向けた製品開発にあまり力点を置いてこなかった」⇒ 製造業者向け?

(2)「人員構成上の理由営業部門の人員が少ない?

(3)「100字以内」 ⇒ 100字を超えてはいけないことに注意

解答の手順

※1. 創業以来、最終消費者に向けた製品開発にあまり力点を置いてこなかった理由

(1) 与件文の第二段落「現在の A 社は電子機器開発に特化し、基本的に生産を他社に委託し、販売も信頼できる複数のパートナー企業に委託している、研究開発中心の企業である」 ⇒ 製造、販売を委託しており研究開発の方法以外に需要拡大の余力がないため、様々な顧客要望への対応力が弱く、最終消費者向けの製品開発は得意ではない

(2) 与件文の第二段落「A 社長は、近隣に進出していた国内大手電子メーカー向けの特注電子機器メーカー A 社を創業した。その後、同社のコアテクノロジーであるセンサー技術が評価されるようになると、主力取引先以外の大手・中堅メーカーとの共同プロジェクトへの参画が増えたこともあって、気象衛星画像データの受信機や、カメラ一体型のイメージセンサーやコントローラーなど高精度の製品開発にも取り組むことになった。もっとも、当時は売上の 8 割近くを主力取引先向け電子機器製造に依存していた」 ⇒ コアテクノロジーであるセンサー技術の需要者は多くが製造業者

(3) 与件文の第七段落「これまで幾度かの浮き沈みを経験してきた同社であるが、営業職や事務職、人事・経理・総務などの管理業務を兼務している者を加えた約 50 名の社員のうち、技術者が 9 割近くを占めている。創業以来変わることなく社員の大半は技術者であるが、売上が数十倍になった今日に至っても従業員数は倍増程度にとどまっている。」 ⇒ コアテクノロジーであるセンサー技術の需要者は多くが製造業者

※2. 解答例(99/100文字)⇒ 理由は、①製造販売を委託しており研究開発の方法以外に需要拡大の余力がないため様々な顧客要望への対応力が弱く最終消費者向けの製品開発は得意ではないこと、②コア技術の需要者は多くが製造業者だからである。

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(設問2)

A 社長は経営危機に直面した時に、それまでとは異なる考え方に立って、複写機関連製品事業に着手した。それ以前に同社が開発してきた製品の事業特性と、複写機関連製品の事業特性には、どのような違いがあるか。100 字以内で答えよ。

解答の留意点

(1)「A 社長は経営危機に直面した時に、それまでとは異なる考え方に立って、複写機関連製品事業に着手した」⇒ 売切り型(フロー型)からサブスクリプション型(ストック型)への転換?

(2)「以前に同社が開発してきた製品の事業特性と、複写機関連製品の事業特性」の違い ⇒ 事業特性事業特性とは、事業の戦略を左右する事業固有の特性

(3)「100字以内」 ⇒ 100字を超えてはいけないことに注意

解答の手順

※1. 以前に同社が開発してきた製品の事業特性

(1) 与件文の第四段落「平成不況が長引く中で、A 社は存続をかけて、ニッチ市場に向けた製品を試行錯誤を重ねながら開発し、事業を継続してきた。もちろん開発した製品すべてが市場で受け入れられるわけもなく、継続的に安定した収入源として A 社の事業の柱となる製品を生み出すこともかなわなかった。そうした危機的状況が、A 社長の製品開発に対する考え方を一変させることになる。開発した製品を販売した時点で取引が完了する売切り型の事業の限界を打ち破ることを目標にして、新規事業開発に取り組んだのである。それが、複写機関連製品事業である。」 ⇒ フロー型のデメリット:継続的に安定した収入が得られない

(2) 与件文の第二段落「当時は売上の 8 割近くを主力取引先向け電子機器製造に依存していた。」 ⇒ 受動型製品開発のため、営業先も既存の取引先に限定

※2. 複写機関連製品の事業特性

(1) 与件文の第一段落「この 10 年間は売上のおよそ 6 割を、複写機の再生品や複合機内部の部品、複写機用トナーなどの消耗品が占めている。」 ⇒ ストック型のメリット:継続的に収入が見込め、取引も継続的に見込める消耗品

(2) 与件文の第十一段落「A 社は、研究開発型企業として、取引先や顧客などの声を反映させていた受け身の製品開発の時代から、時流を先読みし先進的な事業展開を進める」 ⇒ 時流を先読みし先進的な事業展開を進める

※3. 解答例(100/100文字)⇒ 以前は、受動的な製品開発が多く売切り型の取引であったため、安定的な収入を得ることが難しく取引先への依存が強かったが、現在は繰り返し受注が見込める取引であるため、安定的な収入を得やすいという違いがある。

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