中小企業診断士二次試験事例2(平成29)問3

与件文(問題文)はこちら

第3問(配点30点)

 地域内の中小建築業と連携しながら、シルバー世代の顧客生涯価値を高めるための施策について、120 字以内で助言せよ。

解答上の留意点

(1)「 地域内の中小建築業と連携」⇒ 外部資源の活用

(2)「シルバー世代の顧客生涯価値を高めるための施策⇒ 顧客ロイヤリティを高める

(3)「120 字以内で助言」 ⇒ 120字を超えてはいけないことに注意

解答の手順

※1. 地域内の中小建築業と連携しながら、シルバー世代の顧客生涯価値を高めるための施策

(1) 与件文の第四段落「現在は飲食店を除くと閑散としている商店街も、高度成長期には大変なにぎわいであった。B 社も日々多くの来店客を集めた。しかし、丁寧な接客のため来店客に待ち時間が生じるという問題が起きた。そこで、店舗の一角に椅子とテーブルを置き、無料で飲み物を提供する休憩コーナーを設置した。これにより、接客中であることを見て来店客が帰ってしまうケースが減り、売り上げは増加した。」 ⇒ 店舗の一角に椅子とテーブルを置き、無料で飲み物を提供する休憩コーナーを設置

(2) 与件文の第六段落「井戸端会議はB 社が潜在的な顧客ニーズを収集する場でもあった。2010 年のある日、井戸端会議で「買い物のために県庁所在地の百貨店まで出かけたのに、欲しいものがなかったときは体力的、精神的につらい」ということが話題になり、多くのメンバーがその意見に賛同した。その頃、B 社には、ボランタリー・チェーン本部から外出用を主とする婦人服の予約会(注)を実施しないか、という打診があった。同チェーンは近年、加盟店活性化のために、寝具に加えて婦人服、婦人用ハンドバッグ、宝飾品の仕入および販売を強化していた。開催には登録料を払う必要があり、長年寝具一筋でやってきた現社長は婦人服が売れるイメージが湧かず、当初は断る予定であった。しかし、井戸端会議の話を聞き、打診を受け入れた。期間中は店舗2階の売場を整理し、試着室を設け、臨時イベントスペースとした。ただし、スペースはそれほど広くないため、日頃の交流を通じて、顧客の好みをよく把握している副社長が品揃えを厳選した。予約会には井戸端会議のメンバーが多数来店し、時間によっては顧客が会場に入れないほどであった。好評を得た予約会は、継続を望む声があり、開始から既に数年が経過している現在もシーズンごとの予約会の売り上げは落ちずにいる。現在の年間売り上げに占める割合はおおよそ寝具70 %、婦人服25 %、日用品5%となっている。」 ⇒ 期間中は店舗2階の売場を整理し、試着室を設け、臨時イベントスペースとした

(3) 与件文の第二段落「現在のX 市の人口は緩やかな減少傾向にある。そして、年齢分布は図のようになっている。X 市の主要産業は農業とガラス製品生産である。市内にはガラス製品の大小工場が林立し、多くの雇用を創出している。2000 年に大規模工場の一部が海外移転し、市内経済の衰退が見られたが、近年は中小工場の若手経営者の努力により、市内経済は回復傾向にある。2000 年頃の一時期は若年層の住民が県庁所在地に転居することが多かった。これに対してX 市役所は若年層の環流を図り、子育てに関する行政サービスを充実させた。また、ここ数年は建築業も好調である。2世帯同居が減少し、核家族世帯のための建築需要が増えている。加えて、介護のための改装も増加している。」 ⇒ 介護のための改装も増加している

(4) 与件文の第一段落「B 社は資本金1,000 万円、社員3名、パート3名の寝具小売業である。創業以来、地方都市X 市の商店街に1階と2階を合わせて300㎡強の売場の1店舗を構えている。B 社は1955 年に現社長の父親が創業し、1970 年に現社長とその夫人である副社長が事業を継承した。品揃えは、布団、ベッド、マットレス、ベビー布団、ベビーベッド、介護ベッド、布団カバー、枕、パジャマなどである。B 社は寝具類のボランタリー・チェーンに加盟し、商品は同本部から仕入れている。B 社のこだわりは接客にある。睡眠状況を聞きながら商品を薦めるという、現社長が始めた接客は、多くの顧客の信頼を得ている。また趣味の裁縫、刺繍の技術を生かして、副社長が作った小物入れやトートバッグなどのノベルティも人気があり、それを目当てに来店する顧客がいるほどである。」 ⇒ B 社のこだわりは接客にある。睡眠状況を聞きながら商品を薦めるという、現社長が始めた接客は、多くの顧客の信頼を得ている。

(5) 与件文の第九段落「現在も休憩コーナーに人が集うが、シルバー世代の顧客の多くはやがて介護をされる側の立場となり、確実に減少する。今後の対応を考えるべく次期社長は、大型スーパーの寝具売場を視察した。視察を通じて、高品質な商品が少ないこと、従業員がほとんどおらず、十分な説明もできないことが分かった。そこで、次期社長は保育園の入園準備を通じて知り合った子育て世代向けに「親と子の快眠教室」という月1回のイベントを開催し、親の快眠と子供を寝かしつける工夫についての教室を開始した。教室の参加者は、後日顧客として来店するようになりつつある。」 ⇒ 現在も休憩コーナーに人が集うが、シルバー世代の顧客の多くはやがて介護をされる側の立場となり、確実に減少する。

(6) 与件文の第十段落「B 社にとってシルバー世代に関する店内の顧客台帳や現社長達の頭の中にある情報は貴重な無形資産である。次期社長はこれらの情報に容易にアクセスすることができるように情報のデータベース化を実施した。現社長が配達時に記録した住所、副社長が記録した寝具や婦人服の購買履歴と記憶した好みを、可能な限り文字と画像にして、簡易型データベースに登録した。データベースはリピーターである重要顧客からなる100 件強の小規模なものであるが、 1件の情報は非常に詳細なものとなった。しかし、活用方法は見いだせずにおり、課題となっている。」 ⇒ 現社長が配達時に記録した住所、副社長が記録した寝具や婦人服の購買履歴と記憶した好みを、可能な限り文字と画像にして、簡易型データベースに登録

※2. 解答例(121/120文字)⇒ ①井戸端会議や休憩コーナーなどで介護需要を把握し、介護用品での生活支援を提案すると同時に、必要であれば地域の建築業者も同席させて自宅の改築と介護用品をトータルで提案する。②建築業者の顧客に対しても継続して生活支援を提案できる場を設けてもらう。

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