中小企業診断士二次試験事例3(令和02)問2

与件文(問題文)はこちら

第2問(配点40点)

 C 社の大きな悩みとなっている納期遅延について、以下の設問に答えよ。

(設問1)

 C 社の営業部門で生じている⒜問題点と⒝その対応策について、それぞれ60 字以内で述べよ。

解答上の留意点

(1)「納期遅延」⇒ 「契約、図面作成、顧客承認までの製作前プロセスに時間を要して製作期間を十分に確保できないことや、複雑な形状など高度な加工技術が必要な製品などの受注内容によって、製作期間が生産計画をオーバーする

(2)「営業部門で生じている⒜問題点と⒝その対応策

(3)「各60字以内」 ⇒ 各60字を超えてはいけないことに注意

解答の手順

※1. 営業部門で生じている⒜問題点と⒝その対応策

(1) 与件文の第九段落「契約から製品引き渡しまでのリードタイムは、平均約2 か月である。最終引き渡し日が設定されているが、契約、図面作成、顧客承認までの製作前プロセスに時間を要して製作期間を十分に確保できないことや、複雑な形状など高度な加工技術が必要な製品などの受注内容によって、製作期間が生産計画をオーバーするなど、納期の遅延が生じC 社の大きな悩みとなっている。」 ⇒ 契約、図面作成、顧客承認までの製作前プロセスに時間を要して製作期間を十分に確保できない

(2) 与件文の第七段落「受注、設計、据付工事施工管理は営業部が担当する。顧客から引き合いがあると、受注製品ごとに受注から引き渡しに至る営業部担当者を決め、顧客から提供される設計図や仕様書などを基に、製作仕様と納期を確認して見積書を作成・提出し、契約締結後、製作図および施工図を作成して顧客承認を得る。通常、製作図および施工図の顧客承認段階では、仕様変更や図面変更などによって顧客とのやりとりが多く発生する。特にモニュメント製品では、造形物のイメージの摺合わせに時間を要する場合が多く、図面承認後の製作段階でも打ち合わせが必要な場合がある。設計には2 次元CAD を早くから使用している。」 ⇒ 通常、製作図および施工図の顧客承認段階では、仕様変更や図面変更などによって顧客とのやりとりが多く発生する。特にモニュメント製品では、造形物のイメージの摺合わせに時間を要する

※2. 解答例(59〜60文字/各60文字)⇒ (a)仕様変更、図面変更及び造形物のイメージ摺合わせ顧客との調整が多発するため、製造部門は製作に十分な時間を確保できない。

(b)製作期間を十分確保するために、顧客承認後に納期を決定する契約とする。顧客調整には製造部門も同席させ、納期遅れを防止する。

(設問2)

 C 社の製造部門で生じている⒜問題点と⒝その対応策について、それぞれ60 字以内で述べよ。

解答上の留意点

(1)「納期遅延」⇒ 「契約、図面作成、顧客承認までの製作前プロセスに時間を要して製作期間を十分に確保できないことや、複雑な形状など高度な加工技術が必要な製品などの受注内容によって、製作期間が生産計画をオーバーする

(2)「製造部門で生じている⒜問題点と⒝その対応策

(3)「各60字以内」 ⇒ 各60字を超えてはいけないことに注意

解答の手順

※1. 製造部門で生じている⒜問題点と⒝その対応策

(1) 与件文の第七段落「通常、製作図および施工図の顧客承認段階では、仕様変更や図面変更などによって顧客とのやりとりが多く発生する。特にモニュメント製品では、造形物のイメージの摺合わせに時間を要する場合が多く、図面承認後の製作段階でも打ち合わせが必要な場合がある。設計には2 次元CAD を早くから使用している。」 ⇒ 手戻りが多い

(2) 与件文の第十一段落「製作工程は切断加工、曲げ加工、溶接・組立、研磨、最終検査の5 工程である。切断加工工程と曲げ加工工程はNC 加工機による加工であり、作業員2 名が担当している。溶接・組立工程と研磨工程は溶接機や研磨機を用いた手作業であり、4 班の作業チームが受注製品別に担当している。この作業チームは1 班5 名で編成され、熟練技術者が各班のリーダーとなって作業管理を行うが、各作業チームの技術力には差があり、高度な技術が必要な製作物の場合には任せられない作業チームもある。」 ⇒ 各作業チームの技術力が平準化されていない

(3) 与件文の第十二段落「ビル建築用金属製品は切断加工、曲げ加工、溶接・組立までは比較的単純であるが、その後の研磨工程に技術を要する。また、モニュメント製品は立体的で複雑な曲線形状の製作が多く、全ての工程で製作図の理解力と高い加工技術が要求される。ビル建築用金属製品は製作完了後、製造部長と営業部の担当者が最終検査を行って、出荷する。モニュメント製品は、デザイナーの立ち会いの下、最終検査が行われ、この際デザイナーの指示によって製品に修整や手直しが生じる場合がある。」 ⇒ 製作期間の見積りが不十分。最終検査でデザイナーの指示によって製品に修整や手直しが生じる場合がある

(4) 与件文の第十三段落「生産計画は、製造部長が月次で作成している。月次生産計画は、営業部の受注情報、設計担当者の製品仕様情報によって、納期順にスケジューリングされるが、溶接・組立工程と研磨工程は加工の難易度などを考慮して各作業チームの振り分けを行いスケジューリングされる。C 社の製品については基準となる工程順序や工数見積もりなどの標準化が確立しているとはいえない。」 ⇒ 技術力の高いチームに高負荷。

(5) 与件文の第十四段落「工場は10 年前に改築し、個別受注生産に適した設備や作業スペースのレイアウトに改善したが、最近の加工物の大型化によって狭隘な状態が進み、溶接・組立工程と研磨工程の作業スペースの確保が難しく、新たな製品の着手によって作業途中の加工物の移動などを強いられている。」 ⇒ 加工物の大型化によって

狭隘な状態

(6) 与件文の第十五段落「製造部長は、全社的改善活動のテーマである納期遅延の問題点を把握するため、作業時間中の作業者の稼働状態を調査した。それによると、不稼働の作業内容としては、「材料・工具運搬」と「歩行」のモノの移動に関連する作業が多く、その他作業者間の「打ち合わせ」、営業部担当者などとの打ち合わせのための「不在」が多く発生していた。」 ⇒ 不稼働の原因が作業場不足と製作段階での打ち合わせの多さ

※2. 解答例(59〜59文字/各60文字)⇒ (a)各チームの技術力が平準化されておらず、作業時間中の不稼働時間が多いため、納期順の生産計画では納期遅延のリスクが大きい。

(b)人事異動やOJT等で作業チーム間の技術力を平準し、顧客との調整には営業製作両部門の担当者が同席し、納期遅延を防止する。

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