中小企業診断士二次試験事例3(平成29)問1

与件文(問題文)はこちら

第1問(配点30点)

木工加工機の生産販売を進めるために検討すべき生産管理上の課題とその対応策を140 字以内で述べよ。

解答上の留意点

(1)「木工加工機の生産販売を進めるために検討すべき生産管理上の課題」⇒ 生産販売の生産管理上の課題 = SWOTのW

(2)「その対応策⇒ 課題解消策 = SWOTのS

(3)「140字以内」 ⇒ 140字を超えてはいけないことに注意

解答の手順

※1. 木工加工機の生産販売を進めるために検討すべき生産管理上の課題

(1) 与件文の第五段落「製造部は機械加工班と製缶板金班で構成され、それぞれ10 名の作業者が加工に従事している。機械加工班はNC 旋盤、汎用旋盤、フライス盤などの加工機械を保有し、製缶板金班はレーザー加工機、シャーリング機、プレス機、ベンダー機、溶接機などの鋼板加工機械を保有している。」 ⇒

(2) 与件文の第六段落「 C 社では創業以来、顧客の要求する加工精度を保つため機械の専任担当制をとっており、そのため担当している機械の他は操作ができない作業者が多い。また、各機械の操作方法や加工方法に関する技術情報は各専任作業者それぞれが保有し、標準化やマニュアル化は進められていない。」 ⇒ W:多能工化、標準化なし

(3) 与件文の第七段落「 加工内容については、機械加工班はコンベアなどの搬送設備、食品加工機械、農業機械などに組み込まれる部品加工、鋳物部品の仕上げ加工など比較的小物でロットサイズが大きい機械加工であり、製缶板金班は農業機械のフレーム、建設用機械のバケット、各種産業機械の本体カバーなど大型で多品種少量の鋼材や鋼板の加工が中心である。」 ⇒ S:ロットサイズ大と多品種少量の両方に対応

(4) 与件文の第八段落「 顧客から注文が入ると、受注窓口である社長と常務から、担当する製造部の作業者に直接生産指示が行われる。顧客は古くから取引関係がある企業が多く、受注品の多くは各顧客から繰り返し発注される部品である。そのため受注後の加工内容などの具体的な打ち合わせは、各機械を担当する作業者が顧客と直接行っている。」 ⇒ W:生産管理の責任者がいない?

(5) 与件文の第九段落「新規事業は、3次元CAD で作成した3次元データを用いて、3次元形状の加工ができる小型・精密木工加工機「CNC 木工加工機」の事業化である。この新規事業は、異業種交流の場で常務が耳にした木材加工企業の話がヒントになり進められた。「木工加工機は大型化、NC 化が進み、加工機導入の際には多額の投資を必要とするようになった。以前使っていたならい旋盤のような汎用性があり操作性が良い加工機が欲しいが、見つからない」との情報であった。ならい旋盤とは、模型をなぞって刃物が移動し、模型と同じ形状の加工品を容易に再現できる旋盤である。」 ⇒ CNC 木工加工機の事業化=問1

(6) 与件文の第十段落「常務と設計担当者が中心となり加工機の設計、開発を進め、外部のCNC 制御装置製作企業も加えて、試作機そして1号機の実現にこぎつけた。」 ⇒ S:外部資源の活用

(7) 与件文の第十一段落「しかし、それまで木工加工関連企業とのつながりも情報もないC 社にとって、この新規事業の販路開拓をどのように進めるのか、製品開発当初から社内で大きな問題となっている。C 社は、特に新規顧客獲得のための営業活動を積極的に行った経験がない。また、販売やマーケティングに関するノウハウもなく、機械商社などの販売チャネルもない。」 ⇒ W:営業が弱い

(8) 与件文の第十二段落「そこで常務が中心となって、木工機械の展示会に出展することから始めた。展示会では、特徴である精密加工の内容を来展者に理解してもらうため、複雑な形状の加工を容易に行うCNC 木工加工機の実演を行ったが、それによって多くの来展者の注目を集めることができた。特に、NC 機械を使用した経験のない家具や工芸品などの木工加工関係者から、プログラムの作成方法、プログラムの提供の可能性、駆動部や刃物のメンテナンス方法、加工可能な材質などに関する質問が多くあり、それに答えることで、CNC木工加工機の加工精度や操作性、メンテナンスの容易性が来展者から評価され、C 社内では大きな手応えを感じた。そして展示会後、来展者2社から注文が入り、本格的に生産がスタートしている。このCNC木工加工機については、各方面から注目されており、今後改良や新機種の開発を進めていく予定である。」 ⇒ S:CNC木工加工機の加工精度や操作性、メンテナンスの容易性が来展者から評価

(9) 与件文の第十四段落「CNC 木工加工機の生産は、内部部品加工を機械加工班で、制御装置収納ケースなどの鋼板加工と本体塗装を製缶板金班でそれぞれ行い、それに外部調達したCNC 制御装置を含めて組み立てる。これまで製造部では専任担当制で作業者間の連携が少なかったが、この新規事業では、機械加工班と製缶板金班が同じCNC 木工加工機の部品加工、組み立てに関わることとなる。なお、最終検査は設計担当者が行う。」 ⇒ S:内部連携強化

※2. 解答例(139/140文字)⇒ 課題は、①生産管理を一元化して内外の連携を確保し、②改良や新機種の開発に繋げることである。対応策は、①生産管理者を置き、機械加工班と製缶板金班が連携してCNC木工加工機の部品加工、組み立てを行うこと、②外部のCNC制御装置製作企業や木工加工関連企業との関係を強化することである。

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